無償教育前進への展望と課題

2012年9月に日本政府は、国際人権A規約(社会権規約)13条2(b)(c)項、「中等教育および高等教育の漸進的無償化」条項の留保撤回を決定し、同年9月11日に、国連に通告書を送付しました。1979年の条約批准から実に33年。国民の粘り強い運動の成果です。

 

この留保撤回により日本政府は、規約13条2(b)(c)項の「特に、無償教育の漸進的な導入により」に拘束されることになります。つまり、中等・高等教育の「無償教育の漸進的な導入」が政府の義務となりました。政府は今後、教育予算の大幅な増額、私立高校・専修学校・大学等の授業料の軽減あるいは無償化、学校納付金の軽減、給付制奨学金の導入など具体化することが求められます。

 

貧困と格差をなくす

失われた20年と言われます。この間、世帯収入は減少の一途をたどり、生活保護世帯は2.5倍、就学援助を受ける小中学生も2倍超に急増しています。大学生の家庭からの仕送りも3万円以上減っています。

 

世帯の収入が減り、貧困と格差が拡大し、それが子どもや若者たちを直撃しています。高すぎる教育費の軽減は切実な課題です。

 

教育を受ける権利を社会全体で支えるために、国際人権A規約13条の留保撤回を契機に、教育費の受益者負担、自己責任を根本的に転換し、経済的に困難な子どもや若者の修学援助、そして無償教育を大きく前進させる必要があります。

 

教育費負担の軽減へ

日本は、子どもの養育費が世界でも突出して高い国です。一人の子どもが大学卒業までにかかる費用は、扶養費と教育費あわせて、国公立コースで約4000万円、私立コースでは約5000万円かかると言われています。高すぎる教育費が少子化に拍車をかけ、経済・社会のあらゆる分野の衰退を招いています。

 

子育て・教育費の負担を軽減し、子どもを生み育てやすい社会に変え、子どもたち一人ひとりの可能性を最大限に引き出す教育条件の整備は、まさに日本社会の存亡にかかわるものです。

 

記事一覧

2016/10/19 09:09:19 |

(2016年10月19日)

国は、給付型奨学金の財源確保のため、特定扶養控除を縮小する方向です。財務省が、2017年度税制改正の検討項目に盛り込み、与党税制調査会の幹部らに示したことが報道されました(朝日新聞、2016年10月19日)。

2016/07/13 10:57:13 |

(2016年7月13日)

大学中退者は非正規雇用の割合が高いことが、東京大学などの研究グループの調査で明らかになりました。日経新聞7月8日付で報道されました。しかも、中退者の3割が経済的理由。高すぎる大学授業料の引き下げや奨学金制度の拡充が急がれます。

2016/07/11 07:41:11 |

おおさか維新の会が、教育無償化のために憲法を改正するなどといっていますが、教育無償化に憲法改正は必要ありません。憲法を変えなくても教育無償化は実現できます。

2015/10/06 11:21:06 |

(2015年10月6日)

消費税増税の「還付金」手続きにマイナンバーを使う案が浮上したと思ったら、今度は奨学金返還にマイナンバーの活用が検討されています。

2014/07/29 10:29:29 |

(2014年7月29日)

文部科学省は7月28日、日本学生支援機構が大学生らに貸している奨学金の毎月の返済額を、卒業後の所得に応じて減らせる制度を2018年度にも導入することを決めました。

2014/06/08 18:08:08 |

教育無償化の拡充には、教育予算の大幅な増額が必要となります。どれくらいの教育予算拡充が必要で、その見通しはあるのでしょうか。

2013/09/09 10:02:09 |

大学を卒業しても安定した職に就くことができず、奨学金の返済が困難になったり、返還できる展望がないので、そもそも大学進学をあきらめるという若者も少なくありません。奨学金の拡充は喫緊の課題です。

2013/09/08 23:08:08 |

義務教育における学校給食費や教材費、高校の授業料、教科書費、施設整備費、教材費など、順次、無償化を急ぐことが求められます。また、大学の高すぎる学費の引き下げ、本来の給付型奨学金の創設が求められます。

2013/07/22 12:51:22 |

日本では異常に高い教育費のため、国民の教育を受ける権利は空洞化しています。

2013/07/22 11:34:22 |

国際人権A規約13条2項(b)(c)は、「中等教育および高等教育の漸進的無償化」条項です。日本で言えば中学・高校・大学等の教育を漸進的に無償化するというものです。